‘第1回Audiowinds真空管アンプ試聴会'レポート
入梅前の前日の雨も上がり晴天となった6月5日(日曜)、パーツショップオーディオウインズ主催の真空管アンプ試聴会が静岡県浜北市の「なゆた」で開催いたしました。午後1時から、応募された管球アンプ自作ファン9名の方12台のアンプで課題曲と自薦曲による試聴発表を行いました。
 会の参加者は地元静岡のほか愛知・岐阜・長野県から真空管アンプファンが詰めかけ、当初予定よりオーバーの48名の大盛況な会となりました。
この地域での試聴会があまりないので、兎に角いろいろなアンプにめぐり合いたいとの熱い要望から、1Wから60Wまでの広範囲のアンプが集まり、概ね小出力のアンプから大出力の順に課題曲2曲と自薦曲2曲を次々に発表いたしました。
 課題曲は@European Jazz Trioの演奏でArt.Garfunkel作曲の「Scarborough Fair」Aリン・ハレルのチェロ/Pianoフルーノ・カニーノでフォーレ作曲の「夢のあとに」B歌Sarah Brightman、Albinoni作曲の「Aneytime Anywhere」のLiveバージョン、CVioliin庄司紗矢香/ズービンメータ指揮・イスラエルフィルで、Franz Waxman編曲の「カルメン幻想曲」の4曲の中から発表者が二曲選択し、その後自薦曲2曲を各自で発表する方法で進めました。

 試聴機種は12BH7A-Siの1WアンプからKT88-PPの60Wまで12機種。
 トップバッターはブラックの筐体にオレンジレッドのシャーシサイズは20Cm*20Cmの超ミニアンプ12BH7A-Si,出力1Wのこのアンプと本人自作のAltecCF204を組み込んだバックロードホーンで鳴らしましたが、シングルコーンの澄んだ音色にとても1Wと思えないパワーを感じました。
 二番手は6B4G-Si,ウッドのベースにシャンペンゴールドの粋な自作ケースに、なんと6ZDH3AをSRPPドライブし、カソードフォロアー直結方式で音の輪郭がくっきりして好評な1台でした。
 次はVT62-Si,音の分解能も高く、特に広域がしっとり適度に伸びていた点はよく特徴がでていました。
続いてPX25-Si,6DJ8のSRPPドライブで歪も少なく彷彿とした音色はさすが、全体の評価も高かった一台です。

 五番手は多極管6L6GC-Si,明るい音色は若い参加者の心を捉えたようです。
前半の最後は6V6GT-PP,最初のプッシュプル登場で低域が元気で音抜けの良いなりっぷりでした。

 前半6台の試聴が終わり、コーヒーブレイクの20分の時間も大いに盛り上がり、あちらこちらで発表者にアンプの回路の説明を求めたり、中には裏蓋を開けて配線方法の談義をはじめたり、写真を撮るなど試聴以上に和気あいあと盛り上がりました。アンケートにももっと交流の時間をとって欲しかったとクレームが出るほど。
 後半のトップは3極管の王者W.E300B-Si,前段は3段構成で300Bをカソフォロドライブ、NFBもかけて歪感の少ない中高域のつややかさと伸びの良さはさすがとにと皆さんからも絶賛いただきました。
 続いて6GB8-Si,ご本人の謙遜のコメントに違わず、よい力感を持った聞きやすい音色でした。
 4E27-Si,ドーム型のプレートをもちプレートがピンク色に染まり視覚的にも圧巻の送信管の登場。送信管とは言えない暖かみと滑らかさがあり、若い方の評価が高かった一品です。
 6GB8-PP,さすがにPPの力感を十分出してくれた一品であった。デザインも洗練されており皆さん盛んに写真を撮っていました。
EL34-PP,差動増幅回路方式でA級三結で全段直結は、パワーは控えめですがきめ細かな広域に充実感を味わえたこれまた好評の一品でした。
KT88-PP,今回の出品の中でも最大の60W、音の立ち上がりも良く、締めくくりにふさわしいスケール感のある音は最後大いに盛り上がりました。

 使用機器の簡単にご紹介しますと
プリアンプはオーディオウインズが今回のために試作した12AU7のPP構成でライントランスで送り出すフラットアンプを使用、CDプレーヤーはMARANTZのDV8400、スピーカーはJBLの4311と平面バッフルのFostexのFF225KとFT96Hの2Wayの2機種。
 今回は初めての開催なので「1台でも多くとの出会いを」との主催者の願いどおり12台もの多彩な顔ぶれとなりちょっと強行ではありましたが皆さんもご満悦のようでした。
 アンケートの最後にぜひ次回も開催して欲しいと多くの方から熱いメッセージを頂きました。次回は質の追及に踏み込んで行く予定で次の開催を計画しています。

 最後にはAWからの粗品のお楽しみ抽選会で会は午後5時30分でお開きとなりましたが、熱心な方々の惜しみないアンコールを約一時間行って終了となりました。

大塚良一氏製作6B4G-Si(3W)
吉田雅彦氏製作12BH7A-Si(1W)
池谷秀樹氏製作VT62-Si(3.5W) 同池谷氏製作PX25-Si(6W)
同安田氏製作6V6GT-PP(10W)
安田洋介氏製作6L6GC-Si(4W)
谷脇 富氏製作WE300B-Si(7W) 山崎久義氏製作6GB8-Si(9W)
伊藤弘康氏製作4E27-Si(10W) 同伊藤氏製作6GB8-PP(40W)
藤本克郎氏製作EL34-PP(15W) 藤原和哉氏製作KT88-PP(60W)
●文中写真コメント
上:真剣に聞き入る参加者の皆さん
中:PX25のアンプ製作のいきさつや自己評価を説明する池谷氏
下:自慢のアンプを前に回路や製作ノウハウについて熱く談笑する参加者の皆さん